墓石『シルエット』 光の模様で明るく
御影石にほんのりとした光の紋章が浮かび上がる-。石材加工・卸売業の「沖セキ」(川崎市川崎区砂子)は先月二十五日、ステンドグラスをはめ込んだ墓石「シルエット」の販売を始めた。
台形の石碑がすっぽりと石のアーチに覆われているデザイン。覆いの天井部分に、直径十五センチほどの円や四角、ハートマークなどの穴が開き、石碑中央に光が差し込む。
基本的な造形は、二〇〇八年度の「かわさき産業デザインコンペ」(市主催)で同社が採用した墓石デザインで、金沢市在住のデザイナーが考案した。
商品化にあたり、天窓の部分に取り換え可能なステンドグラスを加えた。天窓からの光で家紋や文字、故人の似顔絵などさまざまな模様がプレートに投影される。
「シルエット」の名が示す光の模様は、同社の緑間浩市社長(50)が漠然と温めていた構想から生まれた。「文字やデザインの取り換えがきくお墓」というものだった。
十年ほど前、ある夫妻から墓の製造を頼まれた。妻の親族には墓を管理できる人がおらず、実家の墓から婚家の墓に骨つぼを移し、合葬することになった。夫側の名字が刻まれた墓標を、家名を特定しない「先祖代々之墓」に作り直したいという依頼だった。「少子化や核家族化が進み、こうしたケースは増えてくるだろう」(緑間社長)
一方で、近年は散骨葬も増え、お墓を敬遠する動きも広がっている。「この墓に入りたい」と思えるような、身近でおしゃれな墓を模索していたところだった。
デザインコンペに応募された斬新なデザインが、ぼんやりと抱いていた“夢の墓”を具現化した。「おじいちゃんの命日に、その顔がお墓に浮かび上がれば、きっとお墓参りも楽しくなりますよ」
人は死ぬ。それでも、太陽は輝き続ける。悲しい場所だからこそ、緑間社長は「明るいお日さまの力で、温かい空間にしたい」と力を込めた。 (堀祐太郎)
<メモ> 「シルエット」は、沖セキが先月、意匠権を登録し、特許申請中。天窓に取り付けるステンドグラスは、提携先の東京ヴェリエ(川崎区殿町)がオーダーメードで製作する。シルエットは、オープン価格で150万~200万円。ステンドグラスは5万円前後。問い合わせは沖セキ=(電)(221)1114=へ
東京新聞 - 2010年2月6日



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