遺骨を拾う人なく…葬儀は「おひとり様」仲間で

 「おひとり様」同士が交流を深め、最期を見送る間柄に―。福岡市の民間非営利団体(NPO)「自葬会」は、会員仲間が参列して営む葬儀の形を提案している。背景には、核家族化や生涯未婚化の進行で地縁・血縁が希薄になり、人生の終末に立ち会ってくれる「身内」を持たない都市生活者の増加がありそうだ。

 自葬会が随時開く交流会には、連れ合いに先立たれたり、子どもが遠方に住んでいたりする参加者が目立つ。境遇の似た人々がここで出会い、もしもの時は互いに参列者になる心づもりだ。

 もともと「自分らしい葬儀を考える」ことをテーマに活動を始めた自葬会。活動4年目の2006年、小早川滋代表(71)は葬儀相談会に参加した女性が漏らした「独り身なので葬式はしない。遺骨を誰かに拾ってもらわなくてもいい」という言葉に胸を突かれた。

 小早川代表は、見送ってくれる人がそばにいない単身者の相談が多いことにあらためて気付き、まずは「生きているうちに助け合う仲間から」と、週1回電話で近況報告し合う会を結成。さらに年に数回、花見やカラオケ会を開き、県内各地から集まったメンバーが交流できる機会を増やして「機縁会」と名付けた。

 今夏、福岡市内で開いたカラオケ大会。60代の女性参加者は「今は両親と3人暮らし。この先自分一人になった後の、老後だけじゃなくその後のことまで決めておかねばという焦りがある」と胸中を明かす。カラオケ前には自分で集めた葬儀社のパンフレットを取り出し、仲間とプランを話し合った。

 大阪市の葬儀社「川上葬祭」が調べた結果、大阪近郊で通夜や告別式をせずに火葬場で見送る「直葬」形式が昨年から急増。今年は葬儀の約2割を占めることが分かった。関東の大手葬儀社の試算によると、首都圏では直葬が約3割に上る。

 国立社会保障・人口問題研究所の08年推計では、75歳以上の単独世帯が30年に429万世帯と、05年の約2・2倍に達する見通し。一人で迎える死は特殊なケースでなくなりつつある。

 川上葬祭の川上知紀代表は今年7月に直葬の手引書2種を作成し、全国の希望者に無料で配布を始めた。「どんな形でもそれぞれの葬儀を行う人の思いが反映されれば価値がある」(同代表)と、新たな形を受け入れる動きも広がっている。

 自葬会が福岡市内で開いた葬儀セミナーで、40代の女性会員は「結婚式はしなかったけれど、葬儀は家族との別れの儀式だから大切。夫か私どちらが一人になっても納得できるようにしたい」と話した。初めて参加した男性(70)は「生前の自分を振り返ってくれる仲間をこの会でつくれたら」と、入会資料を手に澄んだ笑顔を見せた。


スポーツニッポン - ‎2009年11月18日‎





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