お墓を建てる(3)開眼法要・納骨

 今回は、わが国で多く行われているお墓建立に当たっての"儀式"や、焼骨を納めるための"しきたり"についてお話ししたいと思います。


新しく建立した石の構築物を"お墓"にする手続き


納骨式(イメージ) 写真提供:財団法人 沖縄県メモリアル整備協会 多く場合、導師(僧侶)の手によって、「お墓」をただの石の建造物から、仏様・ご先祖様が宿った「碑」に変えてもらうために儀式が行われます。ですので、この儀式のことを、多くの場合、「開眼供養・法要」といいますが「入魂式」「魂入れ」とも呼ぶ場合もあります。生前にお墓を建てた場合でも、できるだけ早く行った方がよいでしょう。何年も開眼供養・法要をしないのはいいことではありません。

 こうした儀式を通して、初めてお墓は礼拝の対象となります。開眼(かいげん)とは、そもそも、新たに作られた仏像や仏画などを寺院、伽藍(がらん)また堂に安置し、魂を請(しょう)じ入れることでした。ですので、入仏開眼(にゅうぶつかいげん)、また開明(かいみょう)、開光明(かいこうみょう)などといわれる場合もあります。


僧侶(導師)の手配
 寺院境内墓地の場合、お寺の関係者がいろいろと指導してくれます。また、法要に必要な法具なども、お寺が用意してくれるでしょう。ただし、お盆やお彼岸はお寺も"忙しい季節"ですから、避けた方が無難だと思います。

 公営墓地の場合、自分自身で導師(僧侶)を探して依頼しなくてはなりません。ですが、"お墓"の建立をした石材店に相談してもよいのではないでしょうか。民営の公園墓地の場合、"お墓"の建立をした石材店のほか、霊園の管理者・職員にも導師(僧侶)の手配を頼むことができるでしょう。


開眼供養・法要の流れ

 寺院境内墓地も、公営墓地、民営の公園墓地、いずれにおいても、基本的には同じです。

 1.参列者を決める

 家族を始め、主だった親戚(しんせき)の人たちに出席してもらいます。特に親しい友人に来てもらってもいいでしょう。

 2.お墓を清掃する

 お墓の周囲の雑草やごみを掃除します。墓石も清めます。


 3.墓前に供え物をする

 花立てや燭台(しょくだい)は、お墓に備え付けのものではなく、別に用意します(が、近年は備え付けのものを使うことも多くなっています)。加えて、小机などを墓前に設け、その上に、お酒、お水、昆布、野菜、果物や菓子などといったものを供えます。供え物は、地域によっては決まっていることもあります。地方によっては、いわゆる"向こう三軒両隣"のお墓にも、挨拶(あいさつ)の意味で、簡単な形ではありますが、お供えなどをすることもあります。これらのことは、石材業者に聞いてもいいでしょう。

 4.墓前での法要

 導師(僧侶)に来ていただき、開眼の法要、儀式をしてもらいます。

 5.会食をする

 式の後、全員で会食をします。導師(僧侶)が法要、儀式の"主宰者"になりますので、上座に座っていただきます。上座は部屋の構造によって位置が異なるので、注意しましょう。

 会場は、寺院や墓地の施設を借りたり、近くの料理屋などを手配します。寺院や墓地の施設などでは、仕出しを頼む必要のある場合もあります。会食を省く場合には、折り詰め弁当などを用意します。

開眼法要・供養の費用
 次のような費用が必要です。
1.導師(僧侶)への謝礼(お布施)
2.法具の使用代
3.花代
4.供物代
5.会食費

 謝礼(お布施)は、本来、お礼と感謝の気持ちを表すものですから、金額に決まりはありません。実際、1万円程度から、"お墓"の建立に要した費用の1割(20万~30万円)まで、様々な説があります。ですから、迷ったときは、導師(僧侶)を紹介してくれた霊園の管理者・職員や、石材店の方に聞くとだいたいの傾向がわかることもあります。あるいは、ざっくばらんに、導師(僧侶)に相談してみるという方法もあります。


 導師(僧侶)が会食に出席できない場合は、費用に見合った「御膳料」を包みます。
また、導師(僧侶)に足を運んでもらった場合、このほか、「御車料」を包みます。おのおの1万円程度、ではないでしょうか(もっとも、「お車代」の場合、導師<僧侶>が遠隔地から来ていた場合には、相当実費分を支払わなければならないでしょう)。地方の慣習にもよりますが、これら「御膳料」「御車料」は、「御布施」に含めても、差し支えありません。


参加する際のマナー

 また、参加する場合についてですが、開眼法要・供養自体は、元来、喜ばしいこと、慶事とされておりますので、金封には紅白の水引のかかったものを用意し、「御建碑御祝い」と書くことが一般的とされています。


 が、以下にご説明する、「開眼供養と納骨法要をともに行う場合」には弔事となりますので、この場合には「御仏前」と書かれた、弔辞用の金封を用意しなくてはなりません。お包みする額はおおむね、会食に振る舞われる御膳に見合った額と考えてよいでしょう。具体的には、1万円前後、といったところでしょうか。


 また、開眼法要・供養(建碑式)に参加する場合の服装のマナーについてですが、開眼法要・供養(建碑式)は既に繰り返しお話ししております通り、元来、"お祝いごと"に当たるので、男性は黒服ないし黒スーツに白ネクタイ。靴は黒が一般的です。 女性は略礼服や柄のない着物など、 落ち着いた服装であればこれといった決まりはありません。


 後述する「納骨法要をともに行う場合」、男性は黒服ないし黒スーツに黒いネクタイを着用します。 靴は黒が一般的です。 女性も黒服ないし黒スーツ、アクセサリーはせいぜい白パールや黒パールといったものが無難です。バッグや靴は黒が一般的です。ただ、こうした"ドレスコード"も地方によって異なり、 平服で行われる場合もありますので、 詳しくは民営の公園墓地の管理者・職員や、お寺の関係者にご相談されるのもよいでしょう。


開眼供養・法要と納骨法要をともに行う場合
 お墓の完成した日、または四十九日、百か日、一周忌などの法要のときに行うことが多いようです。また、最近では初七日法要と一緒に行ったり、火葬後すぐ納骨することもあるようです。宗教・宗派や地方によって異なります。


 焼骨をお墓に納める"タイミング"は、既に、開眼法要・供養の式次第でご紹介した、
「3.墓前に供え物をする」と「4.墓前での法要」の間にそのお墓を建立した石材店の職人の手によって、納骨式が行われます。その場合、石材店の職人さんに支払うのは、おおむね1万~3万円程度でしょう。


 次回は、この「開眼供養・法要と納骨法要をともに行う場合」を始めとした、焼骨にかかわる法的手続きについて、詳しくお話しさせていただきたいと思っております。


(2009年11月13日 読売新聞





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