変わるお墓のデザインと機能
最近はこれまでのイメージとは違ったさまざまなお墓が登場しています。そこに込められた人々の思いを取材しました。
町田市にある長坂家の『お墓』――。去年、19歳だった次女の美里さんはスキー場で突然倒れそのまま亡くなってしまいました。若くして亡くなった娘を四角いお墓の中に入れるのには抵抗があり、家族みんなの思いを形にしようとデザイン墓石を選び、約1年をかけてデザインしたものです。この長坂家のお墓は、先月、優れたデザインの墓石に贈る『第21回 墓石大賞』を受賞しました。テーマは『絆』という長坂家のお墓について、父・長坂清治さんは「このお墓の形は『人』という字になっていて、人というものをモチーフに家族が集っていくという姿を表現した。われわれの思いを込めて形にしたお墓が(墓石大賞として)認められたのは大変うれしい」と話します。“また来たいと思える、明るいお墓にしたい”という願い通り、美里さんの友人も多く訪れます。
墓石大賞の審査委員を務め『変わるお葬式、消えるお墓』の著書がある第一生命経済研究所の小谷みどりさんは「ご家族の思いですかね…。亡くなった人に訴えたいことがストレートに出ている形のお墓なので素敵だなと思い、目を引きました」と話します。
今回デザインに携わった石材店では、他にもペットと入ることができる『ウィズペット』やヨーロッパ風の『グラスガーデン墓地』など、個性的なお墓を積極的に打ち出しています。石材店・「メモリアルアートの大野屋」の上原ちひろさんは「お墓は後世までずっと残るものなので、お墓を建てる方の思いを形にして、いい供養ができたと思える『デザイン』が一つのきっかけになれば」と話します。
デザインだけではありません。参拝の方法も新しい提案があります。町屋駅から徒歩1分の場所にある東京御廟は、ビルの中がお墓参りの場です。このお墓はこれまでの墓地が立ち並ぶイメージとは全く異なります。カードをかざすと参拝モードになり、故人との思い出の写真や手紙などが現れます。そして扉が開くとその中にお墓と個人の遺影が用意されています。これは『自動移送式納骨システム』といって、参拝客が来ると同時にお参りしたい厨子(骨壷の入った箱)が現れる仕組みになっています。この建物だけで3500もの厨子を納めることができ、開苑2カ月で既に300の契約があるといいます。見学に訪れた人は「近いから見に行ってみようと思ってやって来た。車で2~3時間も乗って行く距離で管理されているお墓にいつまで行けるだろうか」と話します。東京御廟の大洞龍徳住職は「できるだけ都会の要所につくって、お墓参りに来ていただく回数が増えれば、なくなった方との『絆』もさらに深まっていくのではないか」と話します。
デザイン墓石や納骨システムなどお墓の多様化について第一生命経済研究所の小谷さんは「核家族化が進み、生まれ育った場所で死んでいくというライフスタイルの人が少なくなってきたので(お墓に対しての)『家』意識が薄れてきた」「大事なことは、われわれ残された者が亡くなった人をいつまでも忘れない、いつでも心の中で会える。そういうお墓が大事だろう」と話します。
形にとらわれず心から故人をしのぶことができたとき、お墓は本当の意味を持つのではないでしょうか…。
(Tokyo MX 9月29日)



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