知っておきたい「お墓」の基礎知識

 最近、「永代供養墓」、「散骨」など新しい「お墓」や埋葬方法への関心が高まっています。しかし、実際に我が国で亡くなる約99%の方は、従来の「お墓」に納められています。ここでは、そうしたほとんどの方が経験する「お墓」にまつわる基本的な事柄を中心にご説明します。

 最近、「お墓」に対する関心が高まっています。ただ、その場合の「お墓」とは、子供がいない方や迷惑をかけたくないという方のための「永代供養墓」「合葬墓」「合祀(ごうし)墓」などと呼ばれる、新しい「お墓」、あるいは、自然に返りたいというイメージから連なる「散骨」「樹木葬(墓)」などと思われます。


 しかし、こうした新しい「お墓」を目や耳にすることは多いものの、実際にこうした「お墓」で弔われているのは、ほんのごく一部に過ぎません。我が国では毎年約120万名もの方が亡くなっています。そしてその99%を超えるほとんどの方々は、これまでの「お墓」に納められています。


 いまだに「お墓」は“高い”といわれますが、10年ほど前と比べると今のお墓の値段は7割ほどまでに下がっています。このように皆さんが“思い込んでいる”お墓に対する「迷信」を解きほぐしていくこともできればと考えています。


 これからの連載にお付き合いいただけるのなら、間違いなく、何となく知っているように思っていたこれまでの「お墓」の新しい“顔”、思いも寄らなかった“発見”をすることでしょう。

墓地は大きく3種類に分けられる

お墓の分類図 墓地、という言葉を耳にされた場合、皆さんも聞いたことがあるのは、公営墓地、寺院境内墓地、民営墓地(公園式墓園)の三つになるでしょう。

【公営墓地(都立多磨霊園)】写真手前のものは壁型埋蔵施設。都はこのほかにも様々な、新しい施設の模索を続けている

【公営墓地(姫路市名古山霊苑)】写真、中央の「ピラミッド」状のものは、無縁となった「お墓」や、市内の整備事業などで移されてきたもの
 公営墓地は市町村などといった地方公共団体が設けた墓地のことです。申し込みに当たって、「(墓地のある市町村)に住民票があること」「納めなくてはならない焼骨を自宅などで保有していること」などの条件が設けられていることが多いものの、使用料や管理料が比較的安いことが特徴です。


 公営墓地では先ほど挙げたもの以外にも条件が設けられているケース、あるいは、逆にそうした条件は設けていないケースなど、様々な場合が考えられます。まずは、ご自身が住んでおられる市町村に問い合わせをして、ぜひ、確認をしてください。


 民営墓地は、大きく、そのお寺の信者(檀家)にならなければならない寺院境内墓地と、特にそうした条件はなく、あらかじめ定められた使用規則(契約約款)に基づいて運営される公園式墓園の二つに分けられます。


 特に後者、公園式墓園は財団法人や社団法人といった“公益法人”によって運営されているもののほかに、宗教法人によって運営されているものも珍しいことではありません。


 ですから、皆さんが宗教法人が運営している墓地を選ぶときには、案内の担当者から、単に施設や料金についての説明を求めるだけではなく、寺院境内(的)墓地なのか、公園式墓園なのかを確認しなくてはなりません。また、当然のごとく、おのおのの墓地、墓園で定められている使用規則(契約約款)などを通してよく確認しておく必要があるでしょう。


お墓を建てる時期

【公園式墓地(大阪メモリアルパーク)】平成に開園した代表的な公園式墓地。大阪を一望できる景観の素晴らしさはほかに類を見ない

【寺院境内墓地(報土院・浄土宗)】本堂の周囲にお墓があり、住職と檀家(=墓地使用者)の信仰の場所であることがわかる 一般的には、いわゆる四十九日に納骨するといわれています。しかし、先祖代々、引き継いできたお墓や、故人が生前にお墓を準備していたのであればいざ知らず、故人が亡くなってから、1か月余りでお墓の準備を整えるというのはいささか拙速といわざるを得ません。


 あるいは、各地方、地方における“しきたり”を引き合いに出しながら、早くお墓を用意するようにいってくる“ご親戚(しんせき)”もあるかもしれませんが、「〇〇までにお骨をお墓に納めなくてはならない」という法律はありません。


 私見ではありますが、故人の没後、最初(翌年)の祥月命日に当たる「一周忌」、あるいは、没後、2年目の祥月命日に当たる「三回忌」ごろを目安にして、ご家族の方、皆さんと時間をかけてお墓を選び、用意すれば、故人も安心して眠ることのできる“良い”お墓を選ぶことができるでしょう。


 次回は、その「お墓の選び方」のポイントについてお話しさせていただきます。


(2009年7月1日 読売新聞





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