【特報 追う】故人の遺品、ゴミか否か 「お焚きあげ業者」書類送検
古くなったお札やお守り、故人の遺品などを燃やして供養する「お焚き上げ」。このお焚き上げを名目に、無許可で業者から仏壇や骨壺などを収集、運搬したとして先月、映画「おくりびと」で技術指導を行った札幌市の葬祭会社「札幌納棺協会」と同社社員らが廃棄物処理法違反の疑いで宮城県警に書類送検された。ただ、この問題、廃棄物問題を取り扱う仙台市の担当者でさえも頭を悩ませたボーダーラインが見え隠れするという。いったい何がいけなかったのか。そして遺品と廃棄物の境界線とは-。(豊吉広英)
立件のきっかけは仙台市による刑事告発だ。市によると、同社は平成7年ごろから、仙台市青葉区に金網で仕切られた野焼き場やお堂などを設置した「お焚き上げ場」を設置。遺族らから預かった遺品などを焼却していたが、廃棄物処理法で野焼きが原則禁止となった後の14年ごろからは小型焼却炉も導入、お焚き上げを続けていたという。
市が問題視したのは「お焚き上げ」行為ではない。廃棄物処理法で禁じられている野焼きだが、いくつか例外規定もある。そのうちの1つが、正月明けにしめ縄や門松などを燃やす「どんど焼き」に代表される宗教行事上の野焼き行為。お焚き上げもそれに準ずるものであるという。
市が指摘した問題点。それは“収集方法”だ。「宗教行事で燃やされるものは廃棄物に当たらない。故人をしのび、宗教行事上のお焚き上げをするために一般家庭から受け取った遺品だったら廃棄物にあたらず、問題はなかった」と市廃棄物指導課。しかし「個人から預かった遺品を燃やしているという説明だったが、実態は葬祭業者から依頼された物品まで燃やしていた」のだという。
事業者を介すれば宗教行事ではなく、事業になると市は判断。同社に改善するよう指導を行ってきたが、改善されなかったため、市は告発に踏み切った。同課は「今回の件は想定外のグレーゾーンだったことも事実。だが、こうした行為を廃棄物処理の隠れみのになっていくのも困る。立件を機に警察や検察に見解を出してもらえればと思う」としている。
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ただ、立件された会社側の言い分には複雑な思いがにじみでている。「市とけんかするつもりはない。今はちゃんと許可申請している」と話すのは同社の堀江満本部長。そして、こう続けた。「直接受け取れば遺品で、少しでも業者を通せば廃棄物というのは…」
堀江本部長によると、同社は仙台市のほか、札幌市と函館市にそれぞれお焚き上げ場を持っているが、これまでに問題になったことはないという。
札幌市事業廃棄物課によると、市内でお焚き上げを行っているのは札幌納棺協会を含め3業者。昨年4月に宮城県警が行った同社家宅捜索以降、順次立ち入り指導したが、いずれも「問題なし」と判断したという。
同課は「札幌と仙台のお焚き上げ場では若干状況が違ったように聞いている」としたうえで「遺族が葬祭会社などを通してお焚き上げ業者に渡した遺品といっても、それがすべて廃棄物になるとは一概には言えない。供養してほしいという品を、ゴミとして扱えとはなりにくい」と説明する。
一方、立件した県警側の主張は明快だ。廃棄物処理法では、廃棄物を「ごみ、粗大ごみ、燃え殻…又は不要物」と定義する。「だから、業者から出ようと家族から出ようと、不要物とされたのであれば、遺品も廃棄物。法律にのっとり処理されなければならない」。県警幹部はこう説明する。
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遺品はゴミとして扱うべきか否か。環境省廃棄物対策課は「今回のケースは細かい情報がないし、さまざまなケースがあるので一概には言えない」としたうえで「廃棄物処理法は確かに『不要なものは廃棄物』としているが、実際に何を廃棄物とするか判断するのは難しいのも事実。各自治体には、個別事案を考え判断してほしいと伝えている」と話している。
現代の葬祭事情に詳しい葬儀専門誌「SOGI」の碑文谷創編集長は「お焚き上げといえども事業は事業。市が判断したなら、札幌納棺協会は、ちゃんと廃棄物処理の許可を得るべきだった」と、同社の不手際を批判する。ただ、一方で「最近は寺院でも遺品は引き取ってくれない。核家族化が進む中、遺品をどうしていいか分からないという声も多いからこうした仕事が成り立つ。遺品をゴミとして捨てるのは忍びないのは誰もが同じ。では、どうすればよいのか。行政で方向性を出す必要もあるのではないか」と指摘した。
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【用語解説】札幌納棺協会の摘発
仙台市の刑事告発を受けた宮城県警は昨年4月、廃棄物処理法違反容疑で札幌納棺教会の本社(札幌市)と仙台支店(仙台市)、石巻営業所(石巻市)の3カ所を捜索。1年後の今年4月22日、同容疑で同社と同社仙台支店支店長ら4人を書類送検した。
県警によると、同社などは平成19年1月から11月、仙台市と石巻市の許可を得ないまま、両市の葬祭業者から仏壇や神棚など計約4トンの廃棄物を有料で引き取り、自社倉庫などに運搬した疑いが持たれている。送検された同社仙台支社長は「業務として行った」と容疑を認めているという。
(2009年5月13日 MSN産経ニュース)



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