火葬のみ・家族葬増加 県内葬祭ビジネス探る



映画「おくりびと」がアカデミー賞を受賞し、葬祭に関するビジネスが注目を集めている。不況が叫ばれる中、葬式にも財布のひもをきつくするのか、それとも愛する人との別れは特別なのか-。県内の葬祭や墓石の市場を探った。

 県によると、県内の年間の死亡者数は年々増加し、2007年は10年前より約830人増の7886人。人口1000人に対する死亡者数も1・3人増え9・8人に。マーケットの拡大が予想されるが-。

 「死亡者数は増えているが、お葬式の数は増えていない」。葬祭会館を運営するオームラ(福井市)の新尋誠企画室長(39)は言う。新尋さんによると、葬祭費用の相場は200万-300万円だが、火葬のみで済ませたり、身内だけで執り行う家族葬が増加しているという。新尋さんは「核家族化が進み先祖を大事にする心がむしばまれているのでは…」と、弔い文化の衰退を憂う一方で、「名画『おくりびと』の効果で亡くなった方を大切に送る文化が注目されれば」と期待する。

 同業社のダイキ(福井市)でも2、3年前から火葬のみ・家族葬の割合が増加し、現在は全体の1割を占めるという。忍び寄る不況の影を認めながらも、「20年後には団塊の世代が80代に入り、死亡者数も増えていく。それまでに葬祭会館の数を増やし、売り上げを伸ばしたい」と業界の今後を見つめる。

 「不況でもいいものを求める人はいる」。墓石を扱う石本石材(鯖江市)の石本浩社長(48)は高額商品の伸びをアピールする。同社では07年10月から耐震性を備えた墓石を販売。平均価格は130万円と、普通の墓石より100万円ほど高いが、今では注文の9割以上を占めるという。

 半面、墓石の修理の注文が減ったり、墓石に名を彫る前に先祖の魂を抜く儀式「お精抜き」を省いたりといった“節約志向”の現れも否定できない。

 石本さんは「高額商品と格安商品を扱う会社の2極分化が進んでいる」と業界の傾向を分析する。


(2009年3月17日 中日新聞





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