境内の図書館に新館完成
筑西・専称寺「気軽に活字に触れて」
オープンしたての専称寺文庫新館前で、「気軽に利用して」と話す遠藤さん 筑西市乙の専称寺住職、遠藤勝三さん(70)が、境内に私設図書館「専称寺文庫」の新館を建て、蔵書約11万冊の貸し出しを始めた。5年前から学術専門書を中心に貸し出していたが、今回は幅広く利用してもらおうと、文庫本や新書もそろえた。学生時代、図書館を使えなかったという体験を持つ遠藤さんは「多くの人に気軽に活字に触れてもらいたい」と話している。
東京・浅草出身で、都立日比谷高校定時制に進学。卒業後は高校の図書館で司書として働きながら、大学の通信制で西洋哲学を学んだ。寺の先代住職の長女と結婚し、仏門に入った。司書と住職を兼ねる多忙な日々の合間を縫って、東京・神田をはじめ、全国の古書店を回るのが楽しみで、こつこつと本を購入していった。
増える一方の蔵書を前に、学生時代、当時は定時制や通信制の学生は学校の図書館を利用できず、論文を書くのに苦労していたことを思い出した。
「誰にでも開かれた図書館を作ろう」。2004年4月、境内の書庫に40年以上かけて収集した蔵書を並べ、専称寺文庫を始めた。蔵書の多くは、品切れや絶版になった人文、社会科学系などの学術書など貴重なものばかり。兄隆二さん(72)の協力でデータベース化され、約5万冊がホームページで検索できるようになっており、遠方に住む利用者のために本の宅配も行ってきた。
しかし、学術書を読む人は限られており、この5年間、利用者の数がなかなか増えず、「もっと気軽に利用してもらいたい」との思いから、文庫本や新書を取りそろえた新館建設を決めた。昨年8月に木造2階建ての建物が完成し、蔵書も無事運び終え、先月23日、新館のオープンにこぎ着けた。遠藤さんは「文庫本や新書も公立図書館や書店に置いてない品切れや絶版になったものばかり」と話し、来館者を心待ちにしている。
高価な学術書は保証金を預かり貸し出すが、それ以外は原則無料。開館時間は午前10時から午後4時まで(午後12時から1時までは昼休み)。毎週火曜日休館。
(2009年2月12日 読売新聞)



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