特集:国宝・三井寺展 秘仏、間近に 円珍ゆかりの密教美術、開帳--東京で7日から



 琵琶湖を望む天台寺門宗総本山の至宝を集めた「国宝 三井寺(みいでら)展」が7日から、東京・六本木のサントリー美術館で開かれる。昨年は三井寺中興の祖・智証大師円珍(ちしょうだいしえんちん)(814~891)が密教の神髄を唐から持ち帰って1150年と、寺ゆかりの絵師、狩野光信(みつのぶ)の没後400年にあたりそれを記念した特別展。門外不出の秘仏や、通常は非公開の桃山絵画など国宝・重要文化財60件余を含む約180件が都心へ「お出まし」となる。【川俣享子】

 近畿屈指の名刹(めいさつ)・三井寺の正式名称は、長等山園城寺(ながらさんおんじょうじ)。桜の名所としても有名だ。白鳳時代の686年に創建され、平安時代前期に円珍が天台寺院として中興した。

 天台宗寺門派の三井寺は、山門派の比叡山延暦寺との抗争によって何度も焼き打ちされ、豊臣秀吉からは廃絶を命ぜられるという苦難も乗り越えた。「平安時代から寺宝を命がけで守った僧侶たちの危機管理体制によって、充実した仏教美術は今に伝わった。今回は秘仏を間近に拝観できる貴重な機会」と、サントリー美術館学芸員の瀬山里志さん(41)は解説する。

 まず目玉は、縦178・2センチ、横72・1センチの迫力ある9世紀の国宝絵画「不動明王像(黄不動尊)」(25日から展示)。円珍の修行中、目の前に現れた金色に輝く不動を描かせたとされる。その筋骨隆々とした姿を、鎌倉時代に模刻した重要文化財「不動明王立像」も並ぶ。

 11世紀の国宝「新羅明神坐像」は定期的な開扉のない秘仏。円珍が唐から帰国する船中に現れ、三井寺に導いたとされる守護神で、見るものに畏怖(いふ)を与える白い顔立ちと、伸びやかな体が特徴だ。

 頭のとがった円珍の姿を伝える二つの国宝「智証大師坐像」も目を引く。このうち「御骨(おこつ)大師」には、遺骨が納められていると伝わる。「円珍請伝法公験(でんぽうくげんをこう)奏状案(そうじょうあん)(清書本)」(25日から展示)では、枯れ枝を並べたような筆跡も楽しめる。三井寺は西国三十三所観音霊場としても信仰され、その本尊「如意輪観音菩薩坐像」は柔和な表情が美しい。

 秀吉没後の三井寺復興を象徴するのが、1600年に再建された勧学院客殿の障壁画だ。狩野永徳の長男、光信(1565~1608)が描き、父の豪壮さとは対照的な繊細優美な画風が見事。「一之間」の北側と東側のふすまに、4面ずつ描かれている「四季花木図」が公開される。

 同美術館の石田佳也学芸部長(51)は「関ケ原の戦いのころの空気や美意識を凝縮した桃山絵画。保存もよく、タイムカプセルを開けたような体験ができる。障壁画からは癒やしを、秘仏からは励ましをもらえるはず」と話している。

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 《会期》7日(土)から3月15日(日)。火曜休館。開館は日・月曜・祝日は10~18時。水~土曜は20時まで。入館は閉館の30分前まで

 《会場》サントリー美術館(東京都港区赤坂9の7の4、東京ミッドタウン、電話03・3479・8600、ホームページhttp://suntory.jp/SMA/)

 《入館料》一般1300円、高大生1000円。中学生以下無料

 《主催》毎日新聞社、サントリー美術館、NHK、NHKプロモーション

 《共催》三井寺

 《後援》文化庁、滋賀県教育委員会、大津市教育委員会

 《協賛》日本写真印刷、ニッセイ同和損害保険

 《協力》パイオニア

 《特別協力》大津市歴史博物館

毎日新聞 2009年2月5日 東京朝刊





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