お墓:中 場所の長短所比べて



お墓を建てる場所はお寺がいいのか、霊園がいいのか。霊園には民営もあれば公営もある。それぞれのメリット、デメリットは何だろうか。どんな点に気をつければいいのだろうか。

※クリックすると、拡大します代々の遺骨を納める「家墓」を建てようと思うなら、場所の選択肢は3つ。お寺にある寺院墓地、自治体が建設・管理する公営墓地、宗教法人や公益法人がつくる民営墓地だ。

寺院墓地は、住職がお寺にいるので、手厚い供養をしてもらえるのが最大の利点。法要も住職に頼める。

関東地方の約100カ寺でつくるNPO法人「寺院ネットワーク」の和泉逸平さんは「檀家(だんか)にならずに使える寺院墓地は、まずありません」という。檀家には行事への参加やお布施、山門や本堂の修理工事などの寄付金も求められる。「長男しか入れない寺もある。住職にしきたりをよく聞くことです」と和泉さん。

また、寺には提携した石材店がある場合が大半だ。お墓も和型が多く、デザインの自由度も高くはない。

公営墓地は、自治体が運営するので倒産する心配がなく、比較的広くて値段も安いのがメリットだ。石材店の指定もない。

デメリットは、人気があるので基本的に抽選になり区画も選べないこと。例えば都立霊園の場合、募集は年1回で、08年度は倍率30倍の墓地もあった。住民であること、応募時にお骨があることなどの条件もある。法要の際は自分で僧侶を探すことになる。

最も入りやすいのは民営墓地。公営と同じく宗教や宗派は問われず、檀家になる必要もない。ペットも一緒に入れるなど多様な墓地があり、デザインの自由度も高い。法要の際は通常、僧侶を紹介してくれる。

こちらの最大のデメリットは、民間なので倒産する恐れがあること。管理者が変われば規則が変わり、宗教が指定されることもありえる。また、公営と比べれば値段は高め。石材店が開発しているケースが多い。

いずれも、墓を引き継いで管理する承継者がいることが前提となり、永代使用料を払って一画を墓地として専用する形になる。

NPO法人「ら・し・さ」の理事で、実用書「これからお墓どうしよう!?」を監修した金光節夫さんは「面積にもよりますが、使用料と墓石代で200万~300万円程度に収める人が多いです」。さらに毎年管理費がかかる。

近年、都市部に新たに墓を建て、地方にある墓からお骨を改葬するケースが増えている。

代々の墓がある市町村役場で改葬証明書を出してもらい、墓地は更地にして返す。永代使用料は返ってこない。お墓を閉じる閉眼供養などで、お布施もいる。その上でお骨を持って新しい墓に移すことになる。

金光さんは「昔は何も考えずに死んでもお墓は決まっていたが、今はそうはいかない」と言う。代々の墓に入るのか、新しく建てるのか、墓の形式や場所はどうするのか。「生前に家族でよく相談して合意しておきましょう」と話す。

人生のエンディング:1へ

私の場合
みんなと共同墓に
私たち夫婦の墓は決まっている。「死後の世界を楽しく」がモットーの共同墓所。身よりや子どもがいない人、独身の人たちの要望で、県年金者組合が建立した。私たちは子どもがいるが、さっそく夫と2人で申し込んだ。慰霊祭は年2回あり、とてもにぎやかだ。夢の中でも碁石を持っているほど囲碁好きの私。毎日木々に囲まれた墓地で森林浴をしながら、仲間のすてきな殿方たちと永久に対局できると思うと、ワクワクする。「千の風」になって大空を吹き渡っている暇はなさそうだ。

(福岡県水巻町 江上淑子 67歳)

土にかえる
私たち夫婦は納得できるエンディングを迎えたいと身辺整理を重ねてきた。仕上げとなる葬送と墓については、障壁はあったが、ようやく決着した。大自然の命脈に融合したかったので、希望は樹木葬の墓地だった。だが、近隣にはなく普通の墓園にした。「せめて骨は骨つぼなどに留め置きたくない」と交渉すると、布に包んで埋葬することになった。墓石もシンプルに妻の書の「心」一文字。私のエンディングはわがままかもしないが、その弁明はエッセー集にまとめ、会葬者に渡すつもりだ。

(神奈川県三浦市 長崎義広 82歳)


(2008年12月19日 朝日新聞





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