お墓はどうする?(1) 改葬の手続き
ファイナンシャル・プランナー 山田 静江
年末年始は、多くの方が郷里や実家で過ごされることと思います。ついでに先祖代々のお墓参りに行く方も多いのではないでしょうか。
少子高齢化時代を迎えて、先祖代々のお墓をどうするか、特に田舎や実家のお墓の問題がクローズアップされてきています。受験や就職で都心部に出て行った子供たちは、経済的な理由や、生活の拠点がそこにできてしまったという理由もあって、そう簡単には郷里には戻れません。子どもたちが戻らないとなると、「墓守」は誰がするのか。たまに墓参りをするだけならいいけれど、お墓を継いで守っていくとなると、定期的なお寺との付き合いやお墓の手入れなど負担は大きくなるものです。
自分以外にお墓を守る人がいない場合の選択肢として、最近増えてきているのが、「改葬」つまり「お墓のお引越し」です。
移転先のお墓を準備する
改葬するには、まずは移転先(受入先)のお墓を準備しなければなりません。お骨はそう頻繁に移動するものではありませんから、場所やどういう形態にするかなど、時間をかけて検討しましょう。
もっとも重要なのが、お墓のあと継ぎ(継承者)がいるかどうかです。一般的なお墓の場合、管理料の支払いや、寺院墓地であればお寺との付き合いがありますから、それを担ってくれる人が必要です。あと継ぎがいない場合には、永代供養墓など一代限りのお墓や、維持管理が比較的簡単な納骨堂などを選んで、誰か信頼できる人に託すという方法が選択肢になるでしょう。
定期的に訪ねることになるので、場所も重要です。たとえば自宅から何時間もかかるような場所、自動車でしか行けない場所、階段や坂を上らなければならない場所などは、体力が低下したり足腰が弱ったりしてからは、行きづらくなるかもしれません。他に墓参りをしてくれる家族や親族がいる場合には、その人たちの利便性を考えておくことも大切です。
最後に費用の問題です。お墓や埋葬の値段は千差万別ですし、墓地の永代使用料は田舎より都会の方が高くなるのが通例ですから、田舎にあるような立派な墓にしようと思えば、1,000万円近くかかってしまうこともあります。お墓の問題で老後資金が不足するという事態にならないように、マイホーム同様、都会のお墓はコンパクト&シンプルに考えましょう。
改葬の手順
改葬の手続きは、寺院墓地が民間の墓地か、またその土地の慣習によっても多少ことなりますが、一般的な手順は以下のようになります。
(1):新たな墓地が決まったら、そこで墓地利用許可証と受入証明書などの書類を発行してもらいます。
(2):現在のお墓の管理者に改葬することを伝えて、埋蔵証明書に記入をお願いします。
(3):記入済みの埋蔵証明書と墓地利用許可証、受入証明書とともに、改葬許可申請書を、古いお墓のある市区町村役場に提出します。
(4):書類に不備がなければ、改葬許可証が発行されます。
(5):(4)の改葬許可証を新しい墓地に提出します。
これで、書類上の準備が整います。
(6):お骨を移動します。
現在のお墓から骨壷を取り出して運び、新しいお墓に納骨します。このとき、先に亡くなった方(ご先祖様)のお骨については、骨壷から出して袋などにまとめて、新しい墓に納めることもできます。
仏教形式では、お骨を取り出すときの「閉眼供養(お魂抜き)」や、新しいお墓での「開眼供養(お魂入れ)」を行います。
改葬に際しては、「新しいお墓の取得費用」と「現在のお墓の撤去費用(大きさによるが30万円程度から)」、そして儀式をお願いする僧侶への支払い(お布施)などが必要になります。
また、寺院墓地の場合には、お墓を撤去することはイコール檀家ではなくなることですから、あらかじめ相談しておくことが必要です。離檀(檀家をやめる)にあたって数十万円~数百万円の「離檀料(りだんりょう)」を請求されることもあるようです。事情がわからなければトラブルにもなりかねませんから、これまでお世話になった住職にきちんと話をして、理解を得ておくことも大切ではないでしょうか。
私の実家は都内の寺に墓があり、墓参りの苦労はしたことがないのですが、知人から「父親は山の上にあるお墓に入っていて、時間もお金もかかるから、数年に一度しか墓参りできない。自分たちの代からは別の墓にする」という話を聞きました。改葬が増えると、地方のお寺は檀家が減って経営が大変になりますね。お墓問題は、今後ますますクローズアップされてくると思います。
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プロフィール
山田 静江 (やまだ・しずえ)
1961年東京生まれ。CFP(r)。銀行、税理士事務所、FP事務所を経て独立。お金に関する記事の監修・執筆、相談業務、セミナー講師などを行っている。娘2人。NPO法人らしさ副理事長
(2008年12月18日 読売新聞)


