精進料理 人気呼ぶ 松江・華蔵寺
精進料理 人気呼ぶ 松江・華蔵寺
住職自ら腕振るう 老朽化した寺再興を願い
手間をかけて作られた精進料理 松江市枕木町の古刹(こさつ)、枕木山華蔵寺が、住職手作りの精進料理を参拝客に提供、人気を集めている。料理をきっかけに寺の存在を広く知ってもらえれば、と始めた試みだが、「素朴だけどよそでは味わえない」と訪れた人たちの評判も上々だ。
華蔵寺は約1200年前に天台宗の寺院として開基。鎌倉時代に臨済宗の禅寺として興隆し、戦国時代、兵火に遭うが江戸時代に堀尾吉晴公の祈願所となって復興、「枕木さん」の愛称で親しまれた。しかし、明治維新後は次第に衰退し、「今では枕木山と言えばテレビ塔。華蔵寺は市民にもほとんど知られていない」と吉元玄進住職(54)は嘆く。
精進料理をふるまった後、参拝客と話す吉元住職(右、松江市枕木町の華蔵寺で) もともと藩の寺だっただけに、寺を支える地域の檀家(だんか)も少ない。江戸時代初期に建てられた本堂や庫裡(くり)(台所)は朽ちて傾き、雨漏りがする。福岡県出身の吉元住職は京都市の大徳寺で約20年間勤めた後、2005年に同寺に赴任。11年に改宗700周年を迎えることから、まずは傷んで倉庫代わりになっている開山堂を再建しようと資金集めを思案した。
初めは市内を托鉢(たくはつ)するつもりだったが、住職1人の寺を無人にできない。寺に常駐しながらできることをと考え、禅寺で修業時代に培った精進料理の腕前を生かすことに。営業許可を取得し、06年春から参拝客らに精進料理を提供し始めた。
食材は自身で採った枕木山の山菜や地元の農家から寄進された野菜など旬のものを使う。秋には柿の白あえやユズの皮に包んだ酢の物など約10品目が出され、目にも楽しい。食後は抹茶が出され、素朴だが手間をかけたもてなしが人気を呼び、最近では岡山や広島など県外からの来訪も増えてきたという。
寺には巨大な不動明王の石像や、中海が一望できる展望台もあり、「一度来れば、また来たくなる魅力がある。精進料理が寺に足を運ぶきっかけになれば」と吉元住職は期待している。
精進料理は昼食のみ3000円。準備の都合で少なくとも3日前までに予約が必要。申し込み・問い合わせは同寺(0852・34・1241)へ。
(2008年12月1日 読売新聞)


