身内だけで送る「直葬」増えてます
身内だけで送る「直葬」増えてます
費用割安、地縁も希薄で
火葬場で身内だけが送る「直葬」が増加
祭壇を設けた式場に参列者が集まる従来の告別式を営まず、火葬前に身内だけで送るシンプルな葬式が、京都をはじめ関西で増えている。葬儀関係者の間では「直葬」と呼ばれる。費用を抑えるという経済的な理由だけでなく、究極ともいえる送り方の背景には、高齢化や地縁の希薄化といった社会の現状も垣間見える。
直葬は、火葬が認められる死後24時間以降に、病院や自宅、1時安置所から出棺し、火葬場で送る。身内だけで、花を手向けたり、僧侶が読経するケースもある。
民間会社が運営し、関西で葬式を仲介する「葬儀サポートセンター関西」(大阪市)によると、今年1月から10月に扱った226件のうち、直葬は24件で初めて1割を超えた。京都府内に限っても、直葬は1割近くを占めたという。
従来の葬式の費用は、布施を除いて平均91万円かかるが、直葬は15万-25万円で収まる。こうした費用面で選ぶ人が多いが、最近は「(亡くなった)母は高齢で、兄弟も既に他界した。近所付き合いもなく、呼ぶ人がいない」「『1人娘に迷惑をかけたくない』との遺志を尊重したい」といった声も目立つという。
国の統計では、昨年の死者は約110万人で半数が80歳以上だった。年齢層別では、80-84歳が約18万8000人で最も多かった。
全日本葬祭業協同組合連合会長を務める公益社(京都市中京区)の松井昭憲社長は「関東では直葬の割合が2、3割に達し、関西にも波及してきた」と話す。独居や長く高齢者施設にいて身よりのない人の増加、長引く不況、地域コミュニティーや相互扶助の衰退が背景にあるという。
以前は近所の人が手伝う葬式が当たり前だったが、今、会場は自宅からホールに移り、参列者の輪もぐんと狭まっている。
松井社長は「葬式は様変わりした。しかし、直葬は行き過ぎではないか。故人は生前、多くの人の世話になったはず。本当に誰も呼ぶ人がいないのか。家族はよくよく考えてほしい」と呼び掛ける。
2008年11月26日 京都新聞


