聖徳太子の掛け軸・納骨の権利…個人寄付に大学「特典」
各地の大学が個人からの寄付獲得に知恵を絞っている。国からの補助金が減り、少子化による大学間競争の激化で学費の値上げも難しく、厳しい資金繰りを補おうとの発想からだ。様々な特典を用意して、遺産や退職金を持つ卒業生にも秋波を送る。
京都市の京都大医学部付属病院。敷地内では地上8階、地下1階の新病棟の建設工事が進む。建設費70億円の全額を、ゲーム機メーカー任天堂(同市)の山内溥(ひろし)相談役が個人で寄付した。学内には他にも昨年から、企業経営者の寄付で講堂や研究棟などの新施設が次々と完成。いずれの寄付も、財界関係者による地元貢献という。
大学は昨年3月、「個人でも払いやすいように」と大学のホームページからカード決済で寄付できるシステムを導入。今年10月には、寄付集めや同窓会との連絡役を専門に担う外部戦略担当理事を新設する。
立命館大の川口清史学長は7月、特別授業で学生らに今後の戦略を説明した。「立命館には36万人の卒業生がいる。高齢化社会になり、遺産を残して亡くなる方も少なくないだろう。後輩のために使ってほしいという方にお願いしようと、いろいろ作戦を考えている」
最近、会社社長の卒業生が遺言で寄付をしてくれた例もあり、「学園への寄付をお考えの方へ」と題した専用ホームページには建学の精神や寄付の方法を掲載している。早稲田大や慶応義塾大なども遺言に基づく遺産の寄付を受け付ける制度を始め、手続きしてくれる金融機関をホームページで紹介している。
多くの大学が寄付集めに熱心になる背景には、国の「骨太の方針」で補助金や交付金が毎年1%ずつ減額されていることがある。新しい設備などで大学の魅力を高めようとすれば寄付に頼らざるを得ない。
企業の寄付は使用目的が限定されている例が多い。比較的自由に使える個人寄付を集めようと、各大学は特典にも工夫を凝らす。
龍谷大は500万円以上の寄付をしてくれた人に、浄土真宗の大谷本廟(ほんびょう)(京都市東山区)への納骨の権利を与えている。死後に入れるのは、10階建ての納骨堂「第一無量寿堂」の最上階に大学が所有する「浄華(じょうげ)壇」。隣には歴代の西本願寺総長らの骨を納めた「執行壇」もあり、最も格の高い納骨壇の一つという。
100万円以上の寄付者には桐(きり)箱に入った聖徳太子像の絹製掛け軸、50万円以上は学歌が鳴るオルゴール、30万円以上なら特製名刺入れがもらえる。昨年の寄付総額約5億円のうち約4分の3を個人や同窓会から集めた。
大阪大は、寄付金額ごとに「金銀銅」の顕彰プレートを中之島センター(大阪市北区)の入り口に掲示している。累計500万円以上なら金、100万円以上で銀、50万円以上で銅。現在は金4枚を含む二十数人のプレートが並んでいる。阪大未来基金事務局の担当者は「『もっといい色に』と寄付へのモチベーションを高めることも狙いの一つ」という。(小林正典)
(2008年10月01日 asahi.com)


