最期の別れもその人らしく ピンク、花柄…死に装束に個性を 福岡市で販売



 葬儀が多様化する中、「死に装束」も好みや個性に合わせて本人や家族が選べる店が福岡市に登場した。父親の葬儀で「着せる服の選択肢がなく、父らしい葬儀ができなかった」と悔やんだ女性社長が、婦人服専門店を改装した。「後悔のないように別れの儀式を手助けしたい」という。

 ■中野さん「心に残る儀式手助け」

 女性社長は、婦人服製造と卸、販売をする「ルーナ」の中野雅子さん(44)。同市中央区西中洲の店頭では今月から、従来の婦人服に代えて手作りの死に装束を並べた。

 死に装束は一般的には白一色だが、中野さんの店では「おしゃれ」を前面に出している。ピンクを基調にしたドレス風、桜をデザインしたワンピース風、白と赤の襟で白無垢(むく)を連想させる着物風など女性用の5種類、海と空をイメージさせる青色を襟元にあしらった男性用一種類、赤ちゃん用も一種類。イメージがわきやすいように店内にひつぎも置いた。

 価格は、手作りのため大人用で10万円から25万円。ただ、白一色でも素材などによって5000円程度から30万円と分かれ、単純な比較は難しいという。

 中野さんは、父親の故古賀政之さんが亡くなった2001年、店を引き継いだ。デザイナー兼パタンナー(服の型紙製作専門家)の経験を生かし、「遺族や友人の心に残る死に装束を作りたい」と考え、葬儀社や顧客の意向を調査。素材の研究などもして、新しい死に装束を開発した。

 既に、結婚した際にドレスを着られなかった人が「最期はドレスを着たい」と問い合わせてきたほか、娘が「亡くなった母をきれいに旅立たせたい」と購入したケースもあった。

 福岡市南区の葬儀アドバイザー、曽根崎道子さん(51)によると「好きな服を着て笑っている写真を遺影に」「お気に入りの曲をBGMにしたい」などの要望が最近、増えている。曽根崎さんは「故人の願いをかなえることで、その人らしさがでる。今後は、本人や家族の思いを反映した葬儀が増える」とみている。

西日本新聞夕刊





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