樹木葬、静かな人気 好きな木の下で安眠
墓石の代わりにサクラなどの木を植える「樹木葬」専門の区画が神戸市北区で新たに発売され、人気を呼んでいる。故人をインターネット上で供養する「ネット葬」など近年新しい葬送の形が広がりをみせる中、少子化・核家族化などの影響から、墓石を建てて代々受け継ぐという日本人の昔ながらの葬送に対する考え方に変化が現れている。
「樹木葬以外に考えられない」「死後は自然に還りたい」-。同市北区の神戸聖地霊園で行われた樹木葬専門区画「永代供養『さくら』」の説明会に訪れた人たちからはこんな声が聞かれた。「樹木葬」は墓地として許可を得た土地で、墓石ではなく樹木を植える葬送の形。「さくら」を企画した「メモリアルアートの大野屋」(東京)が4月1日から関西では初となる専門区画の提供を始めた。30センチ四方の1区画が1人用で、価格は30万円。他にも2平方メートルの共同区画に納骨する9万円の永代供養もある。
墓石などの替わりに樹木を墓標とする樹木葬は、平成11年に岩手県一関市に専用の里山墓地ができたのが国内初とされ、山口県萩市や東京都町田市、伊豆大島などにも専用の区画を持つ墓地がある。
神戸聖地霊園では通常の墓石用区画は月に5~10件ほどの契約があるが、「さくら」は用意した340区画中、2カ月あまりで既に66件(共同区画15件を含む)が売れた。大野屋メモリアル相談センター三宮駅前店への月間問い合わせ件数は過去最高を記録した。
神戸支店の小西良和支店長(37)は「関心の高さに正直驚いています。普通であれば考えられません」と話す。
もともと後継者のいない家や独身の高齢者などを対象に永代供養の方式として提案したが、同社のアンケートでは跡継ぎのいる夫婦でも隣り合った区画を購入しており、宗教色のないシンボルツリーが墓標となっていることに魅力を感じる若い世代もいるという。
代々の墓を家単位で守り、彼岸や盆には一家で墓参りという日本人の葬送に対する従来の考え方は、少子高齢化・核家族化とともに大きく変化しつつある。
樹木葬やネット葬のほかにも、遺骨や遺灰を指定された海域にまく「海洋散骨」、ペンダントロケットや置物の一部にしたり、遺灰を加工したダイヤモンドなどとして身近に置いておく「手元供養」、遺灰の一部をロケットで打ち上げる「宇宙葬」などが静かなブームになっているという。
NPO「手元供養協会」(京都市)の山崎譲二会長は「後に残った家族に精神的・経済的負担をかけたくないということに加え、宗教や家系にとらわれず『自分らしく生き、自分らしく死にたい』という人が増えていることのあらわれでもある」と話している。


