葬儀セミナー盛況 自ら学び準備を



 葬儀に関する住民向けセミナーが増え、定期的に開催する葬儀会社や葬祭互助会も出てきた。近所づきあいの減少で葬儀のしきたりを伝える機会が減っただけでなく、自ら学んで準備しておきたいと考える人が増えたのが主な要因という。セミナー会場を訪ね、講師ら関係者にポイントを聞くとともに、最近の葬儀事情について調べてみた。


 コープこうべの葬祭サービス「クレリ葬」が十月中旬に神戸市北区で開いたセミナーには高齢者ら約六十人が集まっていた。

 「永代供養について教えてほしい」「菩提(ぼだい)寺は県外にあるが、長年神戸に住んでいるので、こちらの寺でしたいが注意点は」。参加者が次々に質問し、講師らは「個別事情が大きく、お寺とよく相談して」などと助言していく。

■準備期間の出現

 クレリ葬は、二〇〇一年からコープこうべの店頭で葬祭相談会を設けていたが、勉強会を要望する声が高まり、〇四年からセミナー形式に拡大した。県内で月に三-五回開き、多いときには約七十人が集まるという。

 勉強会の要望についてクレリ葬を統括する中島明久さんは「平均寿命が延び“老後”が長くなった。老老介護や長期入院も増え、身内に“葬儀の準備期間”が出てきた」と分析。自分の葬儀で子や親族に負担をかけたくないと考える人が増えたことも一因という。

■大幅な出費抑制

 親族が亡くなると、悲しみの中で慌ただしく通夜や葬儀を行い、業者の進めるままになることも少なくない。

 講師の藤井文子さんは「自分がどんな葬儀をしてほしいのか、元気なうちに家族と話し合って」とアドバイス。「下の世代の人からは葬儀の話をしにくいので、自分から希望を伝えて。そうすると『故人の遺志』がはっきりし、葬儀での無用のトラブルを減らせる」

 葬儀の質問で最も多いのが費用。藤井さんは「葬儀社の見積もりに惑わされず、無理なく出せる金額をこちらが決めれば、大幅な出費が抑えられる」と話す。

■後悔しないよう

 葬儀は宗教や地域によって作法が異なる。後悔しないこつはあるのだろうか。

 中島さんは「まず自分の家の宗派を知ってほしい」と助言する。宗派が分かれば知っておくべきマナーも具体的になり、身内の死に直面したときに心の余裕ができる。

 藤井さんは、葬儀の形のほか、世話になった人へのメッセージなど、自分の思いを書き出すことを勧める。書くことで心の整理ができ、「これで長生きできる」と喜ぶ人もいるという。

会葬者減り縮小傾向に 都市化、不況など反映

 県葬祭事業協同組合連合会専務理事、溝落成則さんによると、阪神・淡路大震災以降、葬儀が小規模化しているという。

 二〇〇〇年ごろの一件あたりの会葬者はのべ百五十-二百人。今では九十-百二十人という。祭壇のランクの主流は変わらないが、会葬者数が減った結果、法要料理や香典返しが減るなどし、総費用も下がってきた。

 また、知人や近隣住民が会葬せず、身内だけで行う少人数の「家族葬」も徐々に浸透してきた。

 会葬者が減った背景にあるのは、高齢化や都市化、景気の低迷だ。平均寿命が延び、社会との接点が薄くなってから亡くなると、会葬者も同様に高齢で参列が困難になる。クレリ神戸北ホールの支配人、柿本謙二さんはさらに「都市部のマンションでは、隣人すら知らないことも。地域住民が集まる形での葬儀が成り立たなくなってきた」という。

 バブル経済崩壊後の不況も拍車をかける。喪主となる現役世代は収入減により費用を抑えたいという事情がある。「義理」の参列を減らし、近しい人だけでという思いも重なり、身内だけの「家族葬」が増えた。公正取引委員会の〇五年調査では、葬儀費用の平均額は百数十万円だが、柿本さんは「ここ二、三年で百万円近くに下がっているのでは」とみる。

 小規模化の一方で、少子高齢化に伴い、今後しばらくは死亡者数が増え続けるため、葬儀件数も増えて“市場”が拡大。葬祭業者間のサービス競争も始まった。事前相談の専用電話や生前予約での料金割引のほか、講座開催もその一環だ。

 異業種参入も相次ぎ、明朗会計やネット葬儀などをアピール。ホテルも婚礼需要の減少に伴い、「お別れ会」プランを提案する。


出典元:神戸新聞(2007/11/03)





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