お墓掃除はプロにお任せ(東京新聞)



お墓掃除はプロにお任せ 代理墓参も登場


 お盆が過ぎて反省する。「あぁ、今年もまた墓参りし損ねた」。ご先祖様を大事にしなきゃいけないのは百も承知だが、そうそう田舎に帰ってばかりもいられない。そんな都会人に救いの手を差し伸べるのが「代理墓参」や墓地・墓石クリーニングのサービスだ。


 プロの技でお墓を見違えるようにきれいにする「お墓のメンテナンスサービス」を用意しているのが、葬儀・墓石販売大手のメモリアルアートの大野屋。風雨にさらされて、汚れやコケ、水アカなどがこびりついたお墓をきれいにするのは素人には一苦労。面倒だと思うと、ますます墓参から足が遠のくという悪循環も生まれがちだ。一度、プロに徹底的にクリーニングしてもらえば、翌年以降の墓参で気が重くならずに済む。

 石碑のくぼみや継ぎ目に溜まった汚れは素人の拭き掃除だけではなかなか落ちない。花立て・水鉢にもコケや水アカがつきがちで、掃除には手間がかかる。

 大野屋のクリーニングでは、弱酸性の洗浄剤を塗布した後、墓掃除専用に開発した低圧コンプレッサーで水洗いする。人の手で落とせないような細部の汚れやコケなどもコンプレッサーの力で洗い流し、新品同様の風合いをよみがえらせるという。

 固着した水アカや黒ずみは手作業で落とす。石材を傷つけないように丁寧に研磨するテクニックは墓石を業とする同社ならではだ。


低圧コンプレッサーで水洗浄し、アカや黒ずみは手作業できれいに(メモリアルアートの大野屋の「お墓のメンテナンスサービス」)

 敷石の洗浄、敷石周りの雑草取りなども引き受ける。玉砂利を敷いている場合は、砂利の追加もしてくれる。掃除前後の様子を写真に撮って、依頼者に郵送する念の入れようだ。

 料金は、標準的な和型八寸角の墓石と3平方メートル程度の墓地の場合で5万円程度。実費で花を供えてもくれる。

 ハウスクリーニング大手の長谷川興産も「お墓のおそうじ代行サービス」という名前で墓地・墓石のクリーニングサービスを提供している。きれいに掃除した後は花を供えて依頼者の代わりに墓参りまでしてくれる。クリーニング後の墓の写真を礼状、完了報告書と一緒に届けるサービスも付いている。

 日本全国に加え、海外からも申し込める。海外駐在のビジネスパーソンがインターネット経由で申し込んでくるケースもあるという。ロングステイを選択して、日本に長く戻らない人にも便利だろう。ロングステイ中の親にプレゼントしてあげるという使い方もできそうだ。

 墓地の雑草抜き、ごみ拾い、墓石の拭き掃除、花立て・線香皿の洗浄など、一通りの作業をこなしてもらって、基本料金は1万8900円から。 標準の作業時間は1時間半程度だ。


開始前ご挨拶・合掌、次に雑草抜き・ゴミ拾い、続いて墓石のクリーニング(長谷川興産の「お墓のおそうじ代行サービス」の手順)

 ライジング・サン・ディレクトリーのサービス「ほうれんそう」は2坪(6.6平方メートル)までの墓地の場合、基本プランの料金は1回につき1万 5750円。サービス内容は敷地内の清掃、除草、墓石清掃、写真の郵送などだ。花や菓子のお供え、墓石の研磨、2坪以上の墓などはオプション扱いで別料金がかかる。

 墓地のクリーニングを主な業務とする業者が多い中、「お墓参り代行」とうたっているのがアイキャン。同社の「お墓参り代行サ-ビス」は清掃だけでなく、線香、水、生花を供えた上で、墓前での合掌、読経までしてくれる。最後に写真を撮って郵送・電子メール送信する。料金は基本料金が8400円から。

 同社は別に「お墓クリーニング」サービスも提供している。墓に水をかけながら、電動ワイヤーブラシで磨き上げた後、砥石で研磨。刻み込まれた文字の汚れも、特殊な器具で引っ掻き落とす。最後に水洗いしてワックスをかける。料金は建立年数とサイズで異なり、建立30年までで9寸(約27センチ)までの場合、基本料金は3万7800円。

花立てを洗浄し、線香皿を洗い、手で拭き上げて仕上げ(長谷川興産の「お墓のおそうじ代行サービス」の手順)

 アイキャンが手がける「ネットお墓参り」は、墓の写真を登録しておいて、いつでも、世界中のどこからでも、自分専用のパスワードで墓と故人の情報を画面に呼び出せる仕組み。画面の中の墓に焼香や献花ができる。故人の声も登録できる。パスワードなしでアクセスできる公開型も選べる。登録料は3150 円(初回のみ)で、年会費は2100円。

 自分の家の墓を手入れするのに、他人の手を借りるなんて、邪道だと感じる人もいるだろうが、きれいにする行為自体は結構な事だ。いったん本格的にきれいにしておけば、次に参るときの心理的負担はずいぶん軽くなる。その結果、以前よりも墓参の回数が増えれば、悪いことではないようにも思える。お年を召して自分では墓地の手入れができず、気に病んでいるお年寄りは少なくない。そうした方への無形のプレゼントとしては、下手な品物よりもかえって喜ばれることだってあり得るだろう。

 墓参は世代を越えて家族のルーツを確認する行為でもある。孫と一緒に墓参したはいいが、雑草やコケで荒れ放題とあっては、せっかくの機会が台なしだ。あらかじめプロにクリーニングしてもらってから、あらためて参るという使い方も悪くない。


出典元:NIKKEI NET(2007/08/25)





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